折り畳みスマートフォンは、ここ数年停滞気味であった。新しい折り畳みの構造を試すコンセプトモデルは登場してきたものの、サムスンが2019年にこの流れを切り開いて以降、市場に定着した形状は実質的に「本のように開くタイプ」と「フリップ型」の2種類に限られていた。
しかし近年、昨年の「Samsung Galaxy Z Fold7」をはじめ、大幅に薄型化したモデルが登場し、この分野に活気が戻っている。そして今回、サムスンは本格的に10インチのタブレット端末へと変形するスマートフォン「Samsung Galaxy Z TriFold」を発表した。
このような端末を最初に市場へ投入したのはサムスンではない。ファーウェイがMate XTで先行している。ただし、Samsung Galaxy Z TriFoldの設計はMate XTとはやや異なる。現時点でのSamsung Galaxy Z TriFoldの販売地域は中国、韓国、シンガポールなど一部の国に限られているが、サムスンは今年中に米国で発売することも予定している(日本での発売予定も未発表)。
価格はどうなるのか。サムスンはメーカー希望小売価格を明らかにしていないものの、韓国での価格が359万4000ウォン(約38万円)であることから、米国では2500ドル(約39万円)前後、あるいはそれ以上になると想定される。
わたしは「CES 2026」の会場で、3枚の画面で構成されるこの新しいスマートフォンに短時間ながら触れることができた。以下に、その使用感をまとめた。
厚いが薄い
製品名(TriFold)が示すとおり、サムスンで最も高価な折り畳み式スマートフォンは“3つ折り”構造を採用している。一方、ファーウェイの同類スマートフォンはZ型に折り畳む設計だ。わたしはファーウェイの機種をまだ試せていないが、このアコーディオン状の構造には利点がある。1面、2面、3面と、使うパネルの数を柔軟に切り替えられるのだ。これに対し、Galaxy Z TriFoldの切り替えは1面か3面表示のみとなる。
1面のみを使用するときのディスプレイのサイズは6.5インチで、通常のスマートフォンにかなり近い使用感である。ただし、画面を囲むベゼルはやや太く、重量も309gあるので、慣れが必要だ。
画面を右に開き、さらに内側の画面を左に開くと、作業領域として使える10インチの広々としたディスプレイが現れる。ちなみに、Galaxy Z Fold7の画面サイズは8インチだが、TriFoldと比べると小さく感じられる。開いた瞬間、これまでのどのサムスン製折り畳み端末よりも、Androidのタブレット端末を手にしているのに近い感覚を覚えた。
この点は重要である。「本のように開く」折り畳み端末は長年、タブレット端末のような体験を提供すると約束してきた。しかし、画面を多少大きくする程度では、一般的なタブレット端末と同等の体験は実現できなかったのである。TriFoldはこの状況を大きく変える。TriFoldの画面は「iPad Mini」よりも大きいのだ。まさに「ファブレット」の意味するものを正しく体現した端末である。
本体に備わっている2つのチタン製ヒンジにより、3枚のディスプレイが開く構造となっている。各ディスプレイにフルサイズのアプリを配置することも、画面分割で広く使うことも、1つのアプリを表示領域いっぱいに広げることもできる。表示の設定は簡単で、3つのアプリを同時に開いて活用する場面を容易に想像できた。持ちにくさは多少あるが、10インチタブレット端末としては想定の範囲内だ。展開時のTriFoldは非常に薄いので、扱いやすい。
折り畳んだ状態での厚みは12.9mmで、「Galaxy Z Fold6」の12.1mmよりわずかに厚い程度だ。前世代の折り畳み端末とほぼ同じ厚みでありながら、画面サイズが大幅に拡大されている点は印象的である。その分、この厚みも受け入れやすく感じられる。
なお、折り畳み方には正しい手順と誤った手順がある。だが安心してほしい。誤って右側の画面から畳もうとすると、端末が強く振動し、反対側の画面から畳むよう促す警告が画面に表示されるのだ。ただし、それを無視して畳もうとする人が現れることは容易に想像できる。
スペックは最上位
ハードウェアの完成度は非常に高く、仕様もSamsung Galaxy S25 Ultraに近い最上位クラスだ。背面には2億画素のメインカメラを搭載し、プロセッサーにはクアルコムのSnapdragon 8 Eliteを採用している。ディスプレイはセラミックガラスで保護され、IP48等級の防塵防水性能も備えている。
しかし、どれほど魅力的であっても、Samsung Galaxy Z TriFoldは依然としてニッチな端末である。折り畳みスマートフォンが登場してから約10年が経つが、価格はいまだに高止まりしており、さらにサムスンは2025年に折り畳み端末のメーカー希望小売価格を引き上げている。十分に性能のよいタブレット端末とフラッグシップモデルのスマートフォンを別々に購入した方が、負担ははるかに小さい。経済情勢が不安定な時代において、Samsung Galaxy Z TriFoldはやや贅沢に感じられる。
それでも、この工学的な完成度には感心せざるを得ない。これほどのファブレットの能力を実際に享受できる人は一部に限られてしまうのは、非常に残念だ。
(Originally published on wired.com, translated by Nozomi Okuma, edited by Mamiko Nakano)
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